移動平均線大循環分析を使った相場局面の見分け方

為替相場は上昇トレンドが続いていても、いつかはそのトレンドが終わり、下降トレンドに入っていきます。相場にはそれぞれ局面があるので、今、相場はどの局面を迎えているのかがわかれば、トレードがしやすくなりますよね。

この移動平均線大循環分析は、名前は重々しいですが(笑)、難しくはないので、FX初心者でも十分理解できる分析です。

環境認識に活用できる移動平均線大循環分析

トレードをするに当たって、FXチャートを見て、環境認識をすることは大変重要なことです。環境認識というのは、「今、相場はどういう状況にあるか?」をきちんと把握することです。

FX初心者の頃は、この環境認識がとても難しく感じるものです。なので、環境認識を飛ばして、いきなりトレードをしたりする人も!これは自殺行為ですよね。今、自分がどこにいるのかもわからずに、「あっち方向かな?」と適当に歩き始めるようなもの。

本当に歩いているなら、間違ったと思った時点で引き返せばいいですが、FXのエントリーで間違ったら、「損失」という高い代償を支払うことになります。

ということで、環境認識をしっかり行って、「上昇トレンド相場の流れの中で、買いエントリーをする」といったように、自分がどういう相場環境でエントリーするのかを把握していないといけません。

その手助けをしてくれるのが、小次郎講師こと手塚宏二さんが開発した移動平均線大循環分析です。環境認識をする際に、明確な判断基準があったら、チャート分析もシンプルになり、自分の判断の裏づけとなり自信が持てるようになります。

移動平均線大循環分析の手法とは?

大循環分析をするには、移動平均線が短期移動平均線中期移動平均線長期移動平均線3本をチャートに表示する必要があります。

この大循環分析は、指数平滑移動平均線を活用、移動平均線の期間もそれぞれ短期から、5、20、40を推奨していますが、自分が慣れて使用している移動平均線の組み合わせでも大丈夫だと思います。

下図はユーロドルの日足チャートに、5、20、40日の移動平均線を表示しました。

移動平均線大循環分析をするに当たって、一番注目すべき点は移動平均線の並び順です。例えば、安定して上昇トレンド相場が続いている場合は、ローソク足の下に、短期移動平均線、真ん中に中期移動平均線、一番下に長期移動平均線といった順序になります。

逆に安定して下降トレンド相場が続いている場合は、ローソク足の上に、短期移動平均線、真ん中に中期移動平均線、一番上に長期移動平均線といった順序になります。

このように、上昇あるいは下降トレンド相場で、きれいに短期、中期、長期と移動平均線が並ぶことを「パーフェクトオーダー」と呼びます。チャート上でピンクの点線で囲んだところは、下降トレンド相場におけるパーフェクトオーダーですね。そして、青線で囲んだところは、上昇トレンド相場におけるパーフェクトオーダーになります。

このパーフェクトオーダーはトレンドが強く継続している時に発生します。こういう局面では、トレンドフォロー、つまり順張りでトレードしていくことがが基本です。

移動平均線大循環分析では、相場の局面を3つに分けています。

  1. 安定的にレートが上昇している局面(パーフェクトオーダー)
  2. 安定的にレートが下降している局面(パーフェクトオーダー)
  3. レンジ相場などのそれ以外の局面

このように、考えるだけでも、チャートをシンプルにとらえることができるのではないでしょうか?

FX初心者の悩みのひとつに、トレンド相場にうまく乗れないということがあります。気がついたときには、大きく動いてしまった後で、途中から入ろうにも、もうどこで入ったらいいかわからない・・・。あせっていると、高値をつかんだり逆張りしたりして、訳がわからないトレードになってしまうんですよね。

でも、移動平均線大循環分析を使えば、トレンドの入口や出口を察知できるようになり、うまくトレンドが続けば、利益を伸ばすことが可能になります。次で、もう少し細かく見ていきましょう。

相場を6段階に分けて今の相場環境を見極める

移動平均線大循環分析では、相場はぐるぐると循環していて、6段階(ステージ)に分割しています。それは移動平均線の並び順でステージを分けています。

下図はドル円の日足チャートです。

ステージ1:上昇安定 上から短期・中期・長期

安定して上昇トレンド相場が継続しているステージです。3本の移動平均線が右肩上がりに上昇していれば、押し目買いでエントリーするのが有効です。

ステージ2:上昇安定期からトレンド転換 上から中期・短期・長期

安定して上昇していたトレンド相場に陰りが!?トレンドが転換するかもしれないというサインです。でも、一時的な押し目ということも考えられ、その場合は、ステージ1に再び戻ることになります。

ステージ3:下降相場の始まり 上から中期・長期・短期

下降相場の始まりで、3本の移動平均線が集まっています。ステージ2とステージ3が長く続くとレンジ相場になることもあります。

早仕掛けの売りエントリーをする場合は、短期足チャートなどでタイミングを計ってエントリーするといいと思います。

ここで上手にエントリーできると、その後のトレンド相場で大きく利益がとれるので、個人的には大事なステージだと思っています。

今度はステージ4からステージ6まで見てみましょう。

下図はユーロドルの日足チャートです。

ステージ4:下降安定 上から長期・中期・短期

安定して下降トレンド相場が継続しているステージです。3本の移動平均線が右肩下がりに下落していれば、戻り売りでエントリーするのが有効です。

ステージ5:下降安定期からトレンド転換 上から長期・短期・中期

安定して下降していたトレンド相場が終わりを迎える兆候です。トレンドが転換する可能性があるというサインです。でも、一時的な戻しということも考えられ、その場合は、ステージ4に再び戻ることになります。

ステージ6:上昇相場の始まり 上から短期・長期・中期

上昇相場の始まりで、3本の移動平均線が集まっています。ステージ5とステージ6が長く続くとレンジ相場になることもあります。

早仕掛けの買いエントリーをする場合は、短期足チャートなどでタイミングを計ってエントリーするといいと思います。

この後、またステージ1へと戻り、相場はステージを循環し続けるというわけです。

この移動平均線大循環分析を使えば、チャートを見たときに、移動平均線の並び順や向きを確認することで、現在、相場はどのような局面を迎えているのかわかり、環境認識をしやすくなるのではないでしょうか?そして、次の局面をある程度、予測することもできますね!

移動平均線大循環分析を使用するトレード判断

移動平均線大循環分析では、移動平均線3本がステージ1の順に並び、3本全部が右肩上がりになったら買いエントリーをします。そしてこの3本の並び順が変化しない限り、ポジションを保有し、3本の並び順が変わりそうになったか、あるいは変わったら決済をします。

逆に売りの場合は、移動平均線3本がステージ4の順に並び、3本全部が右肩下がりになったら売りエントリーをします。そしてこの3本の並び順が変化しない限り、ポジションを保有し、3本の並び順が変わりそうになったか、あるいは変わったら決済をします。

ただ、この判断は見ているチャートの期間によっても変わってきますし、これだけでエントリーを仕掛けることは出来ませんが、このような条件が揃っていれば、エントリーする大きな理由のひとつになることは間違いないですよね。

まとめ

移動平均線を3本FXチャートに表示することで、移動平均線大循環分析を活用することができます。移動平均線の並びで相場の環境認識を行うというのは、FX初心者にとってもシンプルでわかりやすい分析方法だと思います。(さらに、理解を深めたい方は、小次郎講師の書籍やDVDでお勉強されるといいですね!)

FXトレードの勉強や実際にトレードをしていると、知らないうちに、どんどんチャート分析を複雑にしている場合があります。特に、負けトレードが続くと、どんどん基本から外れて、いつの間にか自分のトレード手法とは違うことをしていることがあります(経験者です!)。

トレードスランプの時、基本に戻って、シンプルな分析に立ち戻ってみると、「何をやってたんだろう?」と悪夢から覚めたような気分になることがあります。基本ってやっぱり大事ですね。

コチラの記事もご覧下さい⇒FX初心者でも理解できる移動平均線の種類と特徴とは?

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