両建ては、FX初心者にとってはかなり難しいトレード手法です。しかし、両建てを上手に使っているトレーダーさんがいることも確かです。両建てはどういう場面で使うと有効なのでしょうか?
ここでは、両建てのメリットやデメリット、そして、レンジ相場かトレンド相場、どちらの場面で両建てを使うほうがいいのかを考えてみたいと思います。
両建てとは?
両建てとは、同じ通貨ペアで「買いポジション」と「売りポジション」を同時に保有することです。エントリーする時に、買いも売りも同時にエントリーする方法と、売りエントリーと買いエントリーの時間を少しずらして両建てする方法があります。
最初、両建ての意味を知った時、逆方向のポジションを持つことに何の意味があるのかと思ったものですが、ヘッジとして使うことは可能のようですね。
例えば「買いのポジション」を持ったとします。レートが思ったように上昇せず下落してしまった時、損失が拡大するのを回避するために、あえて買いエントリーをします。もし、買った時点で含み損が出ていたとしても、それ以上の含み損にはならないですよね。
もしくは、同時に売りと買いのポジションを持ち、売りポジションに利益が出たら利確、買いポジションに利益が出たら利確をする両建ての方法もあります。しかし、実際の相場ではそんなに都合よくいかないものです。
両建ては、「買いポジション」と「売りポジション」を持つタイミングと、そのポジションを閉じるタイミングを見極めなければいけません。それを見極めるには、かなり高度なチャート分析能力と技術が必要になってくることは想像できます。
さらに、両建てには手数料の問題もあります。売りと買いのポジションを持つ時は、かならずマイナスから始まりますから、その手数料分をFX業者に支払うことになります。
そう考えると、FX初心者にとって、両建てトレードをすることのメリットはあまりないのではないかと思います。両建てで利益を出し続けることは、難易度が高いことは言うまでもありません。
レンジ相場で両建ては有効か?
レンジ相場で両建てをするというトレード手法が紹介されているのを見かけますが、その方法でうまく利益をあげられるのでしょうか?
レンジ相場で両建ては有効だといわれているトレード手法は次のようなものです。
1.まず、買いポジションと売りポジションを同時に持ち、両建てをします。
2.相場が上昇し、レジスタンス付近で反転下落し、目標の30PIPS(目標PIPSは相場次第です)に届いたので、両建てのポジションのひとつ、つまり買いポジションを30PIPSで決済します。
3.買いポジション決済と同時に、売りポジションに-30PIPSの損切り注文をいれます。もし、損切りになったとしても、プラスマイナスゼロで損失は出ないですみます。
4.その後、予想通りにサポートライン付近までレートが下がってきました。サポートラインで反転上昇したので、売りエントリーをした建値でプラスマイナスゼロの決済をします。すると、最初の買いポジションで得た30PIPSが利益になります。
もし、サポートラインを下抜けた場合は、レンジ相場が終わり、下降トレンド相場になる可能性がでてきます。売りポジションを保有し続けることで、さらに利益を伸ばすことができます。
この方法のメリットは、おそらくレートがどちらに動こうとも、ポジションを閉じるまでは手数料分の損失しか出ないことですね。
しかし、個人的には、このトレード手法はいまいちピンときません。このレンジ相場が、上昇相場の途中の中段保ち合いだったと予測していたら、買いエントリーはしても売りエントリーをするという選択がないからです。そうなると、手数料を払ってまで両建てをするというメリットがありません。
もし、上のレジスタンスラインが長期足の強いレジスタンスラインであったら、レンジ相場の後に下降トレンド相場になる可能性があるので、様子見という選択をします。
もし、長期足でのレンジ相場が続いていて、レンジ幅が非常に広かったとしたら、わざわざ両建てで入らなくてもいいような気がします。
単に、レンジの下限のサポートライン付近で買いエントリーをして、レンジの上限のレジスタンスライン付近で利確、レンジの上限のレジスタンスライン付近で反転下落したら売りエントリーで入り、下限のサポートライン付近で利確のほうがシンプルではないでしょうか?
もうひとつ考えられるのは、広いレンジ相場の真ん中付近で、同時に両建てをして利益が出た順に決済をしていく方法です。しかし、実際の相場ではそんなに簡単にうまくいくとは思えません。
レンジ相場であっても、図のようにきれいに動くわけではないので、両建てをしていることで各ポジションの決済のタイミングはプロのトレーダーであっても難しいことは間違いありません。
いろいろと考えてポジションを持ってトレードした割には、手数料分だけ払ってそのトレードは終了なんてことにもなりかねません、
ということで、個人的にはレンジ相場で両建てを使うのは、あまり有効ではないと考えます。特に、FX初心者は、素直に自分が予測する方向にポジションを取り、うまくいかなければさっさと損切りをして、次のポジションを持ったほうがいいと思います。シンプルにトレードをすれば、のちのちのトレードの検証もしやすいですよね。
むしろ両建てはトレンド相場で使えるのでは?
いろいろと調べた結果、両建てを使うなら、レンジ相場ではなくトレンド相場で使ったほうが有効なのではないかと思いました。
両建ては、損失を膨らませずにトレードすることがメリットのひとつですが、両建てを上手に使うことで、利益を確保しつつ、利益をさらに伸ばすといった使い方も考えられます。
下図はユーロドル1時間足、上昇トレンド相場の為替チャートです。どんな強い上昇トレンド相場でも一本調子に上昇することはないので、一時、調整といった場面が見られます。
緑の丸で買いポジションを持って、順調に相場は上昇しましたが、ローソク足が移動平均線20日を下回り、一時調整が入りそうになりました。このままずるずるとレートが下がると、せっかく持っている買いポジションの含み益が減ってしまう場面です。
そういう時、売りポジションを一時的に持つことで、含み損を減らすことなく買いポジションを保有し続けることができます。この方が、個人的にはポジティブな両建ての使い方のような気がします。
万が一、上昇トレンド相場が終わってしまい、買いポジションのレベルで両建ての両方を決済することになっても、売りポジションを建てた時点での含み益分は確保できたことになりますよね。
一旦、相場調整後に、うまく上昇トレンド相場継続となれば、売りポジションを決済して、引き続き買いポジションを保有するので、利益を更に伸ばすことができます。
余談ですが、この売りポジションを決済して、2つ目の買いポジションをもち、トレンド相場にのっていければ、利益はさらに積みあがりますね。
まとめ
両建ては、難しいトレード手法のうえに、レンジ相場で使うにしても、あまりメリットがないようです。レンジ相場で使うなら、デモトレードで練習を積み重ねて、自分のトレード手法に合っているのか検証する必要があります。
損小利大の観点からも、トレードはなるべく利益を伸ばすことが重要なので、両建てを使いたいのであれば、むしろトレンド相場で使ってみるほうが、個人的にはおすすめです。
いずれにしても、チャート分析が出来ないと、両建てのトレード手法は成り立たないので、FX初心者であれば、両建てをせずに、まずはシンプルなトレードで勝てるようになることが重要だと思います。
こちらの記事もご覧ください。 ⇒FX初心者でもレンジ相場で逆張りすると勝てるって本当?
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