移動平均線のクロス手法でトレンド転換を見極める方法とは?

移動平均線がクロスする「ゴールデンクロス」「デットクロス」の手法は、トレンド転換の判断に使えるのでしょうか?FX初心者の頃は「だまし」が多いような気がしてましたが、本当はちゃんと使えるんです!

移動平均線を使ったトレード手法はいろいろとありますが、このクロス手法を上手に使えばエントリー判断にかなり役立ちそうです。

2本の移動平均線を使ったエントリーサインとは?

移動平均線を2本使って、トレンド転換のシグナルとして使う手法があります。

短期移動平均線が中期や長期移動平均線を下から上に突き抜けてクロスした時、これを「ゴールデンクロス」と呼び、買いのシグナルと判断します。

下図はドル円の1時間足チャートです。

表示している移動平均線は全て単純移動平均線(SMA)です。赤線が短期移動平均線の20SMA、茶色の線が中期移動平均線の50SMA、緑色の線が長期移動平均線の100SMAになります。

黄色の丸のところですが、短期移動平均線が中期移動平均線を下から上に突き抜けてクロスしています。これが「ゴールデンクロス」です。

このゴールデンクロスが現れた時、中期移動平均線(茶色の線)の傾きが水平から上向きであることが重要です。この場合、このゴールデンクロスの信頼性は高く、上昇トレンド相場へ転換する確率が高いと考えられます。

逆に、短期移動平均線が中期や長期移動平均線を上から下に突き抜けてクロスすることがあります。これを「デッドクロス」と呼び、売りのシグナルとして使います。

下図はユーロドルの1時間足チャートです。

水色の丸のところですが、短期移動平均線が中期移動平均線を上から下に抜けてクロスしています。これが「デッドクロス」です。

先程のゴールデンクロスと反対になりますが、デッドクロスの時は、中期移動平均線(茶色の線)の傾きが水平から下向きであることに注目です。この場合、このデッドクロスの信頼性は高く下落トレンド相場へ転換する確率が高いと考えられます。

このクロス手法を使えば、相場が上昇から下落、あるいは下落から上昇といったようにトレンド転換をした時にエントリーすることが出来るわけですね。

「だまし」シグナルを見極める方法

このクロスを使ったエントリー手法ですが、単純にクロスする毎に買ったり売ったりしては、頻繁に「だまし」に合ってしまいます。余計なエントリーも多くなり、勝率が悪くなります。

FXの教材で紹介する場合、一番、わかりやすい教科書どおりのチャートを見せて説明してくれるので、なんだか簡単にできる気がしてしまいます。

実際、上で紹介した2つのチャートも、かなりいろいろとチャートを見て、一番良さそうなのを引っ張ってきました(笑)。

残念ながら、外国為替相場は、いつも教科書どおりに動いてくれるわけではないです。FX初心者の頃、「クロス手法のエントリーがわかった!」と思い、実際に動いているチャートでエントリーしようとすると、「あれ?学んだようにはならないんだけど!」っとがっくりしてしまいます。そして、「FXのバカ!教材は使えない手法を教えてる!嘘つき!」なんて悪態ついてみたり・・・(笑)。

・・・ということで、次は「だまし」サインのパターンを見てみます。

下図はドル円の1時間足チャートです。

黄色の丸のところで、短期移動平均線が中期移動平均線を上か下に抜けてクロスしていますが、「デッドクロスだ!」と判断して、売りエントリーをするのはおすすめしません。

ここでは、中期移動平均線(茶色)の傾きに注目です。傾きはやや上方向ですね。更に、長期移動平均線(緑色)も上向きです。

こういう時のデッドクロスは「だまし」である可能性が高いので、売りエントリーを避ける場面です。最も、明確な上昇トレンド相場ですから、ここで売りエントリーしたら逆張りでもありますよね。

しかも、シグナルが出るのが、やや遅い傾向があるので、上のチャートの場合、デッドクロスした途端に反転上昇しています。もし売りエントリーをしていたら、すぐに損切りになってしまいます。

下図はちょっと見極めが難しいかもしれませんが、ドル円の1時間足チャートです。

最初の黄色のゴールデンクロス(△印)は、中期移動平均線(茶色)がやや上向きになっていて、形としては良さそうです。

しかし、長期移動平均線(緑色)が上に位置していて、下向きになっています。こういう時は、どうしても長期移動平均線が意識され、このチャートのように再び下落してしまうことがあります。

しかも、ゴールデンクロスが出現した時のローソク足を見ると、短期移動平均線からかなり離れていて、押し目を待ちたい場面でもあります。

しばらくすると、水色(×印)で「デッドクロス」してしまいます。この時、今度は長期移動平均線が下に位置していて、水平になってきています。そう考えると、ここで売りエントリーというのは、躊躇する場面です。

少し待つと、黄色でゴールデンクロス(○印)します。中期移動平均線も水平からやや上向き、長期移動平均線も上向きになっています。これは、誰が見てもバッチリの「ゴールデンクロス」ではないでしょうか?

やはり、わかりやすい「ゴールデンクロス」が出現した後はレートも大きく上昇していますね。

次はデッドクロスの例を見てみましょう。ドル円の1時間足チャートです。

最初に出現した水色のデットクロス(△印)は、中期移動平均線(茶色)がやや下向きになっています。

しかし、長期移動平均線(緑色)が下に位置していて、いまだ上向きになっています。こういう時は、長期移動平均線が意識され、サポートラインとして機能してしまうことが多く、下がりにくいことがあります。実際、デットクロス出現の後、いまいちスムーズに下がってくれませんでした。

しばらくすると、黄色(×印)でゴールデンクロスしてしまいます。この時、今度は長期移動平均線が上に位置していて、ローソク足を押さえてレジスタンスラインとして機能しています。そうすると、ここで買いエントリーは控えたいところです。

少し待つと、水色でゴールデンクロス(○印)します。中期移動平均線も水平からやや下向き、長期移動平均線もゆるやかに下向きになっています。これは、いい形で「デットクロス」したといえるのではないでしょうか?

この2つの例を見て分かるように、トレンド転換の局面で、移動平均線の動きにパターンがあることに気がつきます。もちろん、いつもこのようになるとは限りませんが、こういった綺麗なパターンが表れた時は、自信をもってエントリーできるようになるといいですね。

このように、長期移動平均線の向きと位置を確認することで、「だまし」のサインを見極めることができ、より正確なクロスでエントリーすることができます。

移動平均線のクロス手法は遅すぎる?

このように、全ての条件の揃った「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」でエントリーすれば、サインの確実性は高いと思います。特に、FX初心者の場合、なるべくわかりやすいところでエントリーが出来るようになることが重要です。いつでも応用することは出来るので、まずは基本ですね!

ただ、1時間足チャートで確実性の高いサインが出現するのを待つと、ややエントリーが遅くなると感じるのも事実。特にデイトレなど短期売買をしている場合は、もう少し早めに入りたいと思いますよね。

そういった時は、1時間足チャートで、「もうすぐゴールデンクロスやデッドクロスになりそう」と思った時に、5分足や15分足チャートなどの短期足チャートの状況を見ながら、早めに仕掛けるのもひとつの手法といえます。

すでに上で説明したドル円の1時間足チャートのゴールデンクロス(○印)の部分を、15分足チャートで見てみると下図のようになります。

15分足チャートを見ると、1時間足チャートでゴールデンクロスする前に、黄色のゴールデンクロスや短期移動平均線が長期移動平均線(緑色)をクロスしています。1時間足チャートでゴールデンクロスが起きるであろうということを前提に、早めに仕掛けるというトレード手法です。

今度は、上で説明したドル円の1時間足のチャートのデッドクロス(○印)のところを5分足チャートで見てみます。

1時間足チャートでデットクロスしたところは、5分足チャートでは戻り売りのポイントと一致していて、これは売りエントリーしてもオッケーです。その前の水色サークルのところで、クロス手法だけを使ってのエントリーは、ちょっと難しいかもしれません。

余談になりますが、ドル円の1時間足のチャートに赤の水平線を引いていますが、ここはレジスタンスラインで、過去に1時間足チャートのレベルで一度意識されたラインです。なので、ここは2回目のレジスタンスラインをトライして失敗、5分足レベルでもレジスタンスラインを抜け切れず反転下落してきているという背景があります。

ということは、水色の丸の部分で多少ごちゃついているものの、デットクロスが出現し、加えて、ダブルトップというチャートパターンが認識できたら、ネック切れからの売りや5分足レベルのサポートライン抜けの売りといった売りエントリーの選択が可能です。

もしこの辺りで、売りエントリーをしてポジションを持っていたとします。その後に1時間足チャートでデッドクロスが出現することから、更に下落が予想されます。これで、売りポジションを安心して持ち続ける理由にもなりますよね。

まとめ

移動平均線を使ったクロス手法も、このようにトレンド転換の局面でポイントを確認して使えば、「だまし」に合う頻度を減らすことができ、確率の高いところでエントリーができると思います。

過去のチャートで、どういう場面で「ゴールデンクロス」や「デッドクロス」が有効だったかを検証すると、より理解が深まると思います。

通常のクロス手法に慣れてきたら、今度は、1時間足チャートでゴールデンクロスやデットクロスになりそうだと思った時、実際にクロスする前に、短期足チャートでエントリーポイントを探してみるのもいいですね。

こちらの記事もご覧ください。 ⇒FX初心者がチャート表示で悩む移動平均線の疑問や見方を解決!

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